自己資金を準備した上で、営農&生活プランに基づいた資金活用を

新たに農業を始める場合、経営開始に向けた準備にかかる資金、経営に必要な運転資金、農業収入を得るまでの生活費が必要になります。すべてを自己資金でまかなうことができれば良いのですが、
なかなかそうはいかないものです。
長期的な営農と生活のプランに基づいて、公的な融資制度、岩手県独自の支援策の活用を検討しましょう。

資金の活用ポイント

アドバイス1

新規で農業を始める場合、準備しておきたい資金
次のような資金が必要になります。
事業計画を立て、その達成に必要となる資金額を想定しましょう。
・経営開始に必要な資金
 ・・・農地の購入や借入、トラクターなどの農機具・機械の購入、ハウスや畜舎など施設の建設・整備など
※果樹、施設園芸、花き、酪農など、選んだ営農類型や規模によって、必要となる額は異なります。
・経営に必要な運転資金
 ・・・種苗・肥料・農薬の代金など
・農業収入を得るまでの生活資金
 ・・・安定した収入が得られるようになるまでの生活費


アドバイス2

就農に不可欠な自己資金
平成18年に全国新規就農相談センターが実施した調査では、新たに農業を始める人が準備した自己資金の平均額は、農業開始のための資金約550万円と生活資金約300万円のあわせて約850万円という結果でした。実際に支出した額は約1,200万円となっており、不足分は借入金などで補ったものと考えられます。
なお、この額は取り組む作目などで大きく増減しますので、しっかり計画を立て、必要な資金を十分に把握の上準備に取り組んでください。


資金の活用の手順


事業計画の作成

資金を活用する場合には、はじめに具体的な事業計画を作ることが必要となります。そのうえで、計画を達成するために必要となる農地・農機具・施設などの取得にあたり、自己資金だけでは対応できない場合に、必要最低限の資金を借り入れることを検討します。


資金の選択

資金には、農協などの融資機関が独自に融資する資金と、国や県などが利子補給等を行い、比較的低利で融資する制度資金があります。制度資金については、借入の要件があるので、それぞれの事業計画にあった資金を選択することが必要です。
また、低利と言えども返済が長期にわたる場合には、それ相当の利子の負担が発生します。自分の収支計画などを考えながら適切な借入額、償還期間などを融資機関と協議のうえ、設定してください。


融資額

自身の担保能力などにもよりますが、資金の種類によって借り入れできる最高金額(限度額)が決まっているほか、融資率(例えば、事業費の8割以内)が決まっているものもあります。


借入の要件

制度資金の借入に際しては、各資金で定められている要件に適合することが条件となるため、事前に資金利用計画等に対する行政機関などの承認が必要となります。一例として、青年等就農資金では、青年等就農計画の認定が必須条件で、資金の借入前に就農計画を作成して、市町村長の認定を受けることが必要となります。
また、借入者の組合員資格や保証のための担保、連帯保証人を求められる場合があるので、利用予定の金融機関と十分な打合せが必要となります。

新規就農者のための主な制度資金

青年等就農資金 ●貸付対象者:青年等就農計画を作成して、市町村長の認定を受けた方。(認定新規就農者)
 ・青年(18歳以上45歳未満)、知識・技能を有する者(65歳未満)
 ・農業経営を開始してから一定期間(5年)以内の者。認定農業者は除く。
●資金の使途
 農業経営を開始する際の機械の購入費、施設の設置費、種苗・肥料等の資材の購入費等
●借入限度額  3,700万円
●貸付金利 無利子
●償還期限 12年以内
●据置期間 5年以内
●担保等 実質無担保、無保証人
●融資機関 日本政策金融公庫

青年等就農資金借入手続きの流れ

●下図のような流れで行います。借入申請に必要な書類の書き方などについては、就農先の農協や農業改良普及センター、(公社)岩手県農業公社に相談してください。
●事前に青年等就農計画の認定を受ける必要があります。
●青年等就農資金

 資金利用計画の承認手続き(認定新規就農者)
 青年等就農資金の融資を受けようとする場合、事前に借入金額の利用計画を作成して、各市町村で開催される審査会において承認を受けることが必要です。

担い手育成基金事業

●新規就農者経営安定支援事業
・新規就農者等の営農の早期の定着を図るため、就農開始時等に必要な経費を支援します。

【内容】
1回限りの助成とし、青年等就農計画の実施に必要な経費の一部を70万円を上限に助成します。
家賃、先進農家研修費、農地の賃料・簡易な整備費、機械・施設の整備費、リース料、修理費、種苗費等生産資材の購入費など

【助成対象者】
認定新規就農者であること。
平成23年度以降に就農し、申請時55歳以下であること。
過去に新規就農条件整備事業、又は青年就農給付金(準備型・経営開始型)の給付を受けた者又は現在給付を受けている者を除きます

 【助成機関】 公益社団法人 岩手県農業公社

●地域経営資源継承支援事業
・地域全体のサポートのもと、地域に賦存する経営資源を継承することにより、新規就農者の初期投資の負担軽減と営農の早期定着化を図ります。
※「地域」の範囲は地方協議会管内、農協管内または県内とします。

【内容】
中古の機械・施設等地域の経営資源の移設、修理(部品代を含む)及び取得経費を助成します。ただし、中古ハウスについては取得経費は除きます。
70万円以内/年・人(2/3以内)

【事業対象者】
認定新規就農者又は就農5年以内の認定農業者で、次の要件を全て満たしていること。
ア 新規就農者確保・育成アクションプランにおいて位置付けられた取組であること
イ 青年等就農計画若しくは経営改善計画に記載されている、又は記載されることが確実な事業内容であること
ウ 青年就農給付金(準備型・経営開始型)の受給者であること
エ 事業実施年度及び事業終了後3年間、経営実績報告書を地方協議会を経由し提出すること

資金計画を立てるにあたって

資金計画を立てる際は、次のような手順で考えていくことが必要です。

①まず、どのような農業経営を目指すのか。作目や規模、目標とする農業所得などをイメージしてください。

②就農予定先の農業者の話を聞いてみます。

・どの程度の機械、施設が必要か。購入額はどの程度か
・大まかな収入や支出、農業所得はどの程度か
・農産物の販売や農業資材の購入方法販売に必要となる経費はどの程度か
・労働の様子やもっとも忙しい時期はいつか
・どんなことで苦労しているか

③就農予定先の農業改良普及センターや農協の担当者などから指導を受け、具体的な経営・資金計画を作成します


農業経営の内容について

・農地、施設、農業機械などの所有状況を踏まえ、将来の目標を定めること。
・地域の標準的な経営規模、資本装備を参考にし、過剰な投資とならないように注意すること
・目標とする農業経営に必要な労働力を確保できるか検討すること
・農産物の販売方法、農業資材の購入方法についても検討すること

収支計画について

・農業は自然相手の仕事です。災害や農産物の価格の暴落など、予期し得ない障害にあうことも考えられるので、余裕を持った収支計画を立てること。
・労働力の検討は十分に行うこと。特に人を雇う場合は、その労賃で収支計画が大幅に変動することが多々あります。
・農作物を収穫し、販売するまでの運転資金、生活費が必要となるので注意すること。

資金運用について

・災害や機械の故障、農業以外の出費などを念頭に置き、余裕のある資金運用を心掛けること。
・融資を受けるため、家計費を圧縮した計画を組み、あとで苦しむといったケースもみられるので注意すること。特に子供の進学など家族のライフプランを考慮すること。

制度資金の選択について

・自分の経営にもっとも適した制度資金を選ぶこと。各種の制度資金の組み合わせも検討してみること。
・一般的な長期低利資金は有利ですが返済期間は長いほど良いというものではありません。資金繰りを考えて、適切な返済期間を検討すること。
・通常の返済期間は、融資を受けた施設などの耐用年数に合わせたものとすること。
・制度資金の返済には、据置期間があるものが多いので、経営が軌道に乗る時期や収支計画、資金繰りを十分念頭に置き、据置期間を有効に活用すること。

負債の状況を明確に

・現在の借入金や農業以外の負債も把握しておくこと。